令和8年6月9日
沖縄議会議長
中川京貴 殿
陳情者団体:一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム
代表者名:理事長 仲村覚
住 所:沖縄県那覇市
電 話:080-
違法な沖縄県の条例運用が改善されるまで運用停止を求める陳情
陳情の趣旨
沖縄県は、「沖縄県差別のない社会づくり条例」第11条に基づく実名公表を、不利益処分ではなく「啓発」であると主張している。しかし、被通知者のプライバシーを剥奪し社会的信用を失わせるその実態は、紛れもない「社会的制裁」を伴う不利益処分である。行政が国民の権利を制限・侵害する行為は、憲法および行政手続法の理念に基づき、適正な手続を経て行われなければならない。現在の運用は「啓発」という詭弁により、適正手続を著しく欠いた重大な瑕疵状態にある。よって、適正な運用体制が確立されるまで、当該条例の運用を停止し、速やかに是正措置を講じられたい。
陳情の理由
当局の行政運用には、以下の各条例・法令に抵触する重大な違法状態が認められる。
- 事実に依拠しない、恣意的な「差別認定」の不当性
当局の主張する「排除の扇動」という認定は、言語学的事実を無視した「根拠のない差別認定」である。まず、処分対象とされた表現は、中国の成語『賊喊捉賊(どろぼうがどろぼうを捕まえろと叫ぶ)』の語義を解説したに過ぎず、純粋に学術的・語学的な中立言論である。本邦外出身者等に対する不当な差別的言動の解消に関する措置に係る事務処理(令和5年10月1日施行)においては、対象となる表現は沖縄県に居住または滞在する本邦外出身者等に対して行われていると「明らかに認められるもの」と定められている。しかし、当局は中立的な成語解説を意図的に特定の文脈へ強引に結びつけ、あたかも差別的扇動であるかのように決めつけている。この当局の論理は、言語が持つ本来の社会的意味を剥奪し、特定の対象を攻撃するための「差別」というレッテルを貼るものである。客観的な事実に依拠せず、解釈を恣意的に歪めて「差別」と認定する行為は、行政権の著しい逸脱であり、言論の自由を不当に萎縮させる不当な弾圧に他ならない。
- 憲法21条、差別の無い社会づくり条例12条違反(憲法の自由と権利を不当に侵害しない留意義務違反)
学術的・語学的な言及を根拠なく差別と認定することは、『沖縄県差別のない社会づくり条例』第12条において義務付けられた『憲法の保障する自由と権利を不当に侵害しないよう留意する義務』に明白に違反するものである。 当局による恣意的な差別認定は、憲法第21条が保障する『表現の自由』を不当に侵害し、県民に対し萎縮効果を生じさせるものである。公権力が特定の表現に対して『差別』というレッテルを貼る行為は、表現の自由の萎縮を招く重大な違法行為であり、適正な留意を怠った当局の姿勢は到底看過できない。
- 沖縄県行政手続条例第28条(不利益処分をする際の理由の提示)違反
当局の行った不利益処分は、処分対象者に対し、いかなる具体的「事実」に基づき条例第10条に該当すると認定したのかという客観的根拠を明示していない。これは不利益処分における理由提示を義務付けた行政手続条例第28条に明白に違反するものである。 行政処分の理由提示は単なる手続的義務にとどまらず、処分対象者が「何が理由で処分されたのか」を認識し、それに対して具体的かつ的確な不服申し立て(反論)を行うための必要不可欠な前提である。当局が具体的な根拠を開示せず抽象的な条文の列挙にとどまる処分を行うことは、実質的に処分対象者の「反論権」を剥奪し、日本国憲法第31条が保障する「適正手続(デュー・プロセス)」を形骸化させるものである。したがって、本件処分は手続上の重大な瑕疵があり、違法である。
- 「運用指針」自らが規定する「慎重な手続」の形骸化
沖縄県が策定した「沖縄県差別のない社会づくり条例 解釈及び運用の指針」第11条第3項の解説において、当局は「一旦公表を行った後では、そのものの社会的評価や信用を回復する手段がないことから、公表に係る手続は慎重に行う必要がある」と明記している。しかし、現実の運用では、「公表により初めて明らかになる」という論理で、対象者が公表前に十分な反論を行う機会や、当局の解釈に対する異議申し立ての機会を事実上封殺している。これは、当局自身が策定した「慎重な手続」の要件を自ら放棄するものであり、行政の自己矛盾である。
- 沖縄県情報公開条例第1条(目的規定)および第3条(解釈及び運用)違反
沖縄県情報公開条例第1条は、本条例の目的として、「県民の知る権利を尊重し、県政の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにすること」および「県民の参加と監視の下に公正で開かれた県政の推進に資すること」を明記している。また、同条例第3条は、実施機関に対し「公文書の開示を請求する県民の権利が十分に尊重されるように条例を解釈し、及び運用すること」を義務付けている。しかし、当局による「実名公表等の決定前であるから非開示とする」という一律的かつ自動的な運用は、これらの規定を真っ向から否定するものである。「公正で開かれた県政」を実現するためには、行政の検討過程や認定の論拠が県民の監視の下に置かれることが不可欠である。当局は、肝心な認定プロセスを「公表までブラックボックス化」することで、県民の監視の目を遮断しており、条例が掲げる「県政に対する理解と信頼」を自ら損なっている。加えて、当局の運用は、第3条が求める「県民の権利が十分に尊重される解釈」とは対極にある。行政が「非開示にするための理由探し」に条例を悪用し、公表により初めて決定内容を明らかにするという論理で、対象者が公表前に十分な反論を行う機会や、当局の解釈に対する異議申し立ての機会を事実上封殺している。これは、当局自身が策定した「慎重な手続」の要件を自ら放棄するものであり、行政の自己矛盾と言わざるを得ない。
① 条例目的(第1条)の形骸化 「公正で開かれた県政」を実現するためには、行政の検討過程や認定の論拠が県民の監視の下に置かれることが不可欠である。当局の運用は、肝心な認定プロセスを「公表までブラックボックス化」することで、県民の監視の目を遮断しており、条例が掲げる「県政に対する理解と信頼」を自ら損なう結果となっている。
② 条例解釈義務(第3条)の恣意的な歪曲 第3条は、「県民の権利が尊重されるように解釈せよ」と命じている。しかし、当局は「非開示にするために条例を解釈する」という本末転倒な運用を行っている。公文書公開の権利を制限するための都合の良い解釈は、法治主義の観点からも、県民の権利を尊重すべき実施機関の責務という観点からも許されない。以上の通り、当局の運用は、条例の目的を無視し、かつ条例が求める適正な解釈義務を放棄した「条例の精神に反する運用」であることは明白である。直ちに現状の非開示運用を撤廃し、県民の権利を最優先する運用への転換を強く求める。
- 沖縄県情報公開条例第14条(理由付記義務)違反
非開示決定を行う際、当局が付記する理由は抽象的かつ形式的なものに留まり、開示しないことする根拠規定およびその適用根拠が、当該書面の記載自体からは全く理解できない。これは同条例第14条が求める「理由付記の充足性」を著しく欠いており、請求者の防御権(反論権)を実質的に奪う違法行為である。
- 沖縄県情報公開条例第7条第6号、7号(非開示情報)の適用における適正手続の欠如
本件処分は、沖縄県情報公開条例が目指す『県民の知る権利』を保護する手続きを実質的に空洞化させている。具体的には、第7条第6号及び7号を適用するにあたり、必要とされる(1)支障の蓋然性に関する具体的立証の欠如、(2)開示の公益性と非開示の必要性の厳密な比較衡量の欠如、および(3)部分開示を検討すべき義務の放棄という、適正手続上の重大な瑕疵がある。したがって、本件非開示処分は適正な手続を踏まえておらず、裁量権の逸脱・濫用である。
よって、以下陳情す
る。
陳情事項
- 運用の一時停止: 上記法令違反状態が解消され、適正な運用が担保されるまでの間、当該行政処分および公文書不開示決定の運用を即時停止すること。
- 条例の趣旨に反する違法な運用実態の是正: 現在行われている「公表まで情報を秘匿する」等の運用は、情報公開条例の趣旨を逸脱した違法状態にある。直ちに当該運用を是正し、処分理由の厳格な提示および情報公開の原則を徹底した体制への刷新を求める。
- 議会による監視の強化: 当局の違法な運用実態を厳格に調査し、法令遵守の徹底を指導すること。
以上
添付資料
- 補足説明資料
- 解釈及び運用の指針(抜粋)
- 不開示決定通知16通
| 補足説明資料 |
| 補足説明資料 |
| 解釈及び運用の指針(抜粋) |
| 解釈及び運用の指針 |
| 不開示決定通知書16件 |
| 不開示決定通知書16件 |

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