第2回:中国の三戦と沖縄分断ナラティブ

認知戦
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1. 中国の三戦と沖縄分断ナラティブ

1.1. 三戦とは。

中国人民解放軍は、物理的な戦闘だけでなく、情報空間における非軍事的な闘争を重視しており、その中核となるのが「三戦」と呼ばれる概念です。これは2003年に公式概念として採用されました。

  • 輿論戦(よろんせん): 国内外の世論を自国に有利な方向へ誘導する闘争です。国営メディアの海外展開、ソーシャルメディアの活用などを通じて、中国のナラティブ(物語)を広め、正当性を主張します。
  • 心理戦(しんりせん): 威嚇、欺瞞、宣伝などを通じて、敵対国やその軍隊の心理・認知に影響を与え、戦闘意思を削ぎ、判断を誤らせることを目的とします。
  • 法律戦(ほうりつせん): 国内法や国際法を自国の行動を正当化し、敵の行動を非合法化するための武器として利用する闘争です。法解釈をめぐる争いで主導権を握ろうとします。

これら三戦は、軍事的手段の使用をほのめかす脅しと併用されることが強調されており、単体で軍事力を代替するものではなく、統合作戦と連携して効果を発揮する情報化戦争における政治工作の中心と考えられています。

1.3. 三戦とナラティブの関係

中国の「三戦」(輿論戦、心理戦、法律戦)は、単なる戦術的な手段に過ぎません。これらは、特定の「ナラティブ」(物語や筋書き)を社会に浸透させ、自国に有利な世論や状況を作り出すためのツールとして機能します。

ナラティブは三戦の「目的」であり、最上位の戦略目標です。三戦は、そのナラティブを社会に浸透させ、実現させるための「手段」に他なりません。 いくら三戦の手法(輿論戦、心理戦、法律戦)を個別に理解しても、その背後にある「ナラティブ」を見抜き、理解していなければ、三戦を仕掛けられてもその認識すら持つことができません。情報工作において、相手のナラティブを正確に把握し、それに対抗する真実に基づくナラティブを構築・発信することが、最も効果的な防御策となります。

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