【重要・緊急報告】中国複合法律戦: 仕組まれた「曖昧な沈黙」から、「戦後秩序の否定」へ

歴史戦
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中国複合法律戦: 仕組まれた「曖昧な沈黙」から、「戦後秩序の否定」へ

作成日:2025年11月20日

作成者:仲村覚(一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長)

序章:誤報を正す!日中関係は「悪化」ではなく「深刻な戦略局面」である

「日中関係が冷え込んだ」「関係が悪化した」という報道をよく耳にしますが、それは根本的な誤報です。現状は、友好関係の一時的な悪化などという生易しいものではありません。

我々は今、中国共産党が日本の主権を標的として一方的に開始した、極めて深刻な「複合法律戦」の局面の渦中にいます。

これは、ミサイルの飛んでこない戦略であり、中国外交部が使用する言葉が、従来の曖昧な表現から、法的拘束力を持つ条約文書を直接参照する表現へと変化したこと。これこそが、中国が「主権制限の実行段階」に入ったことを示す、決定的な戦略転換の兆候です。

本レポートは、現在起きている中国の対日批判は一時的な悪化ではなく、2014年の合意以降に仕組まれた「複合法律戦」であると分析し、その戦略的転換を時系列で報告することで、日本の主権を構造的に蝕む問題の本質を把握し、政府が取るべき主権回復のための緊急行動を提言するものです 。

 

Ⅰ. 複合法律戦の巧妙な罠:曖昧な言葉から法的拘束力への移行

【戦略の核心】「曖昧さの利用」という冷酷な罠

本報告書が示す最大の危機は、日本政府が中国との摩擦を避けるために、中国側が求める曖昧な政治用語(四つの原則的共通認識など)を放置したこと、そして中国がその曖昧さを逆手に取り、自らの野望を実現する戦略的用語として利用し始めた点にあります。この「曖昧さの利用」こそが、中国の戦略的優位性の根源です。

中国の戦略は、日本が「反論の自由」を失い、主権的行動の自由度が構造的に制限された状況を緻密に構築しつつあります

1. 「四つの原則的共通認識」による主権的な「沈黙の強制」(フェーズ A)

中国の戦略は、日本に「反論の自由」を事前に放棄させるという、極めて巧妙なものでした。

1. 「優しい言葉」で仕掛けられた罠:時限爆弾としての「二重構造」(2014年〜)

この時期、中国の対日戦略は、「民間/世論戦」と「公式外交」の巧妙な二重構造によって展開されました。これは、日本政府が法的反論の機会を自ら放棄するよう仕向けるための、極めて悪辣な罠でした。

具体的には、尖閣諸島沖での衝突事件直後から、中国の学術界や民間メディアでは、「ポツダム宣言・カイロ宣言を守り、日本は琉球の主権を放棄すべきだ」という強硬な主権否定論(琉球地位未定論)がプロパガンダとして意図的に拡散され、国内のナショナリズムと国際的な世論戦の土台が構築されました。

その一方で、公式な外交の舞台では、この強硬論を一切表に出さず、「四つの原則的共通認識」という、法的拘束力が極めて曖昧で平和的な言葉だけを繰り返し、日本側に**「遵守」**を約束させました。

【中国の真の狙い(二重構造の目的)】

  • 狙いは「平時誤認」の利用: 「戦争の準備は平時にこそ仕掛けられる」という認識が日本側に欠けていたため、曖昧な「共通認識」を受け入れ、強硬な主張に対する法的反論の機会を自ら手放した
  • 沈黙の利用: 日本の「沈黙」は、中国の解釈するポツダム宣言の拡大解釈を「約束の継続的な尊重」として外交記録に蓄積させることにつながり、この「沈黙の期間」こそが、主権的対応の機会を失った期間となった。
  • 時限爆弾の仕込み: 後にポツダム宣言の拡大解釈(フェーズB)を突きつける際の「日本が過去の約束を破った証拠」として利用するための時限爆弾として仕込んだ。

結果: 日本は、内容を確定しないまま「遵守の約束」だけを反復させられ、「今さら中国の解釈が間違っていると反論することが極めて困難になった」という、「法的拒否権を行使しづらい構造的な制約」に直面しています。

【フェーズ A の対日批判の記録:沈黙による主権の侵食】

法的強制力を持たない「四つの原則的共通認識」「四つの基本文書の諸原則と精神」といった曖昧な言葉が、ポツダム宣言を迂回して、日本の主権的行動を制限するための外交的テコとして確立されていくプロセスの事例を下記に掲載します。

時期 主な発言者/発表者 発言の場/文書 戦略的な狙いと日本への効果 日本側の致命的な失敗 ニュースソースURL
2014年11月7日 日本政府/中国外交部 日中関係の改善に向けた話合い (文書) 【罠の設置とキーワードの定着】 尖閣問題を巡る「異なる見解を有していると認識」しつつ、「四つの基本文書の諸原則と精神を遵守」を確認。ポツダム宣言という言葉を使わずに、その拡大解釈への遵守の約束を外交文書に定着させ、後の法的攻撃の土台とする。 「四つの基本文書」の曖昧な文言を外交文書に受容。後の中国の「遵守」要求に対する法的カウンターロジックを自ら放棄した。 外務省公表文書 (2014/11/07)
2020年5月11日/12日 趙立堅 報道官 (中国外交部) / 人民網 定例記者会見及び人民網の即時報道 【主権行動の制限とキーワードの武器化】 海警局の巡航への抗議に対し、**「四つの原則的共通認識の精神を遵守せよ」と公式に要求。ポツダム宣言という言葉を隠したまま、日本の主権的行動を封じ込める要求を世論戦で認知定着させた。 「共通認識」の曖昧性**を利用され、行動には抗議するも、法的解釈の明確化を怠り、中国の拡大解釈を事実上黙認し続けた。 中国外交部記者会見録 (2020/05/11)
2020年7月22日 汪文斌 報道官 (中国外交部 定例記者会見/CCTVニュース 【継続的な圧力とキーワードの反復】 中国海警船の100日連続巡航について、「日方所謂『抗議』は受け付けていない」としつつ、**「双方応按四点原則共識行事(四点原則共通認識に従って行動すべき)」と要求。 曖昧なキーワードによる中国側の「行動せよ」という要求に対し、依然として法的カウンターロジックを展開せず、問題の核心から目を逸らし続けた。 中国外交部記者会見録 (2020/07/22)
2020年11月 王毅 外相 訪日時の発言(間接的に言及) 【友好レトリック下での法的移行】 表向きの「協力パートナー」精神を強調しつつ、その延長線上で日中共同声明ポツダム宣言第8項に間接的に言及。友好ムードをカモフラージュとして利用し、後の法的攻撃へ向けた**土台の切り替え(曖昧な言葉→法的文書)**を実行した。 王毅外相の拡大解釈(沖縄言及)に対し、主権侵害の意図を明確に否定する強い法的反論を公的に展開しなかったことが、後の危機を招いた。 人民網日本語版 (2020/11/25)
2024年5月11日

 

人民日報論説

 

社説(「日本は歴史の教訓を心に刻むべき」)

 

【ポツダム宣言の武器化の開始と台湾問題の利用】日本が抵抗しにくい台湾問題ポツダム宣言に言及し、後の法的攻撃の移行の準備をした。曖昧な「共通認識」から、ポツダム宣言という法的ルーツを直接参照するようになり、後の法的攻撃への移行を準備した。

 

ポツダム宣言の拡大解釈(特に「再武装禁止」論、領土返還)が国内メディアで広がる中、政府はサンフランシスコ平和条約に基づく日本の主権的権利を積極的に主張せず、中国のプロパガンダ戦線への反論を怠った。 [人民網日本語版 (2024/05/11)]

 

Ⅱ.フェーズ B:法律戦・歴史戦・経済制裁による対日封じ込め

このフェーズで、中国外交部法的強制力を持つ文書 を直接武器として使用し、さらにはサンフランシスコ平和条約の正当性自体を否定し始めたことは、戦略が実行フェーズに移行したことを意味します。

1. 法的攻撃の実行(時系列順)

【フェーズ B の戦況記録:法的攻撃の断行(完全版)】

時期 主な発言者/発表者 発言の場/文書 区分 発言の内容と法的攻撃 ニュースソースURL
2025年8月15日 王毅 外交部部長

 

人民網掲載声明

 

法律/歴史

 

【サンフランシスコ平和条約否定論の予備的布告】 ポツダム宣言受諾を強調し、歴史修正主義を「国連憲章・戦後国際秩序への挑戦」と断罪。サンフランシスコ平和条約否定論という核心的法的攻撃公式かつ戦略的な予告として機能。

 

[人民網日本語版 (2025/08/15)]

 

2025年8月18日 毛寧 報道官 (中国外交部) 定例記者会見/人民網 法律 【公式ルートで初めてのサンフランシスコ平和条約否定と日本の戦後法的基盤への攻撃】 日本の主権の根幹であるサンフランシスコ平和条約を **「不法かつ無効な文書」と公的に断定。日本の戦後体制の法的基盤(特に沖縄の主権)を崩壊させる論理を確立する、対日法律戦略の核心である。 中国外交部記者会見録 (2025/08/19)

 

原文中文

2025年10月9日 孫磊国連次席大使(中国代表) 国連総会第3委員会(人権) 歴史・人権 【国連での法的/人権戦線の拡大と沖縄問題の公式化】 日本の人権問題指摘への反論として、「沖縄の人々ら先住民に対する偏見や差別をやめるよう日本に促す」と公式主張。サンフランシスコ平和条約無効論を法的根拠と

し、琉球地位未定論を「人権問題」という形で国連の公的議事録に残すことに成功し、国際的な戦線を拡大した。

共同通信記事 (2025/10/22)
2025年11月10日 林剣 報道官 (中国外交部) 定例記者会見/新華社 法律 【安保政策への法的制約実行】 **「中日間の四つの政治文書の精神」を引用し、日本の安保政策を「国際関係の基本準則違反」と批判。法的拘束力を利用した政策制限の実行。 中国外交部記者会見録 (2025/11/10)
2025年11月14日/15日 中国外務省/大手航空会社/国営メディア SNS(注意喚起)及び報道 経済 【経済的圧力の実行と世論動員】 中国外務省が国民に日本訪問を当面控えるようSNSで注意喚起。大手航空会社がキャンセル無料化を発表し、日本の政策(高市首相答弁)への対抗措置として、観光・経済を標的とした複合的な報復攻撃を実行。 共同通信記事 (2025/11/15)
2025年11月15日 China Daily 報道記事 世論/法律 【世論戦:琉球地位未定論の浸透(海外向け公式メディア)】 「Interview with a Ryukyuan: Ryukyu is not Japan」と題し、琉球独立派の人物のインタビューを掲載。サンフランシスコ平和条約否定論と連動した世論的攻撃を実行。 China Daily 報道記事 (2025/11/15)
2025年11月16日 Global Times 報道記事 世論/法律 【世論戦:琉球地位未定論の浸透(タカ派メディア)】 琉球独立派の松島泰勝氏へのインタビューを掲載。サンフランシスコ平和条約否定論に続く、中国のタカ派メディアによる世論的な攻撃の継続。 Global Times 報道記事 (2025/11/16)
2025年11月16日 (夜) 毛寧 報道官 (中国外交部) 公式SNS投稿 (X) 世論/法律 【台湾問題への法的牽制】 日中共同声明を引用し、「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持」する日本の義務を強調。台湾有事を巡る日本の外交的自由度を、法的拘束力をテコに制限する。 [毛寧報道官Xアカウント (2025/11/16)]
2025年11月17日 毛寧 報道官 (中国外交部) 定例記者会見/中国外交部 法律 【台湾関連政策への直接攻撃】 高市総理の台湾関連発言を「四つの政治文書の精神」に恪守せよと批判。日中共同声明(ポツダム宣言)の法的拘束力をテコに、日本の外交的自由度を直接剥奪。 [中国外交部記者会見録 (2025/11/17)]
2025年11月18日 (午前) 毛寧 報道官 (中国外交部) 定例記者会見/中国外交部 法律 【日本の防衛政策の全面否定(再武装禁止論明記)】 防衛予算増額や武器輸出緩和を批判する際、「ポツダム公告は日本に『再武装禁止』 を明確に規定している**」と発言。日本の主権的権利(自衛権)自体を戦後国際秩序への挑戦として法的根拠から無効化しようと試みる。 [中国外交部記者会見録 (2025/11/18)],

 

2025年11月18日 (午後) 中山義隆 石垣市長 報道(八重山日報) 反撃/政治 【政治的反撃:最前線からの主権主張】 台湾有事時の「存立危機事態」認定を支持し、台湾を「国家の形を成している」と主張。中国の主権侵害論(琉球地位未定論、自衛権制限)に対する、現場からの能動的な政治的カウンターメッセージを発信。 八重山日報記事 (2025/11/18)
2025年11月18日 (午後) 頼清徳 総統 (台湾) ニュース動画(YouTube) 反撃/政治 【反撃:複合戦略の国際的認定】 中国の行動は「日本に対し複合的な攻撃を行い」「インド太平洋地域の平和と安定に打撃を与えている」と公言。中国の複合戦略を国際世論に訴え、日米台の連携の必要性を明確に訴求。 台湾総統府 / ニュース動画 (2025/11/18)
2025年11月19日 (午前) 中国政府 外交ルート 経済 【経済的制裁の断行】 日本産水産物の輸入停止を正式に伝達。表向きは「処理水」のモニタリングが理由だが、高市首相の台湾有事答弁への対抗措置である可能性が高く、日本の政策変更を狙った経済的圧力の最高レベルを実行。 [共同通信記事 (2025/11/19)]
2025年11月19日 (午前) 中国大使 傅聡(ふ・そう) 国連総会(安保理改革会合) 法律/世論 【4つの政治文書に反している】日本は、「一つの中国」原則と中「日間の四つの政治文書」の精神に著しく違反している。これは戦後の国際秩序の破壊である。」「(日本は)平和の道を歩むという日本の基本的な約束に公然と違反した。このような国は安全保障理事会の常任理事国入りを求める資格が全くない。 新華網日本語版 (2025/11/19)]
2025年11月19日

 

文:楊伯江・唐永亮(中国社会科学院) 人民網日本語版 論説

 

法律戦 【台湾/防衛政策への再度の法的牽制】 日本の台湾関連や防衛政策について「日中四つの政治文書の精神に恪守せよ」と改めて強調。日本の外交・安全保障政策の自由度を継続的に制限する法律戦の連日実行

 

人民網日本語版2025/11/19
2025年11月19日

 

Global Times

 

論説「琉球研究の必要性」

 

歴史戦 【学術戦の開戦】 中国国内初の「琉球研究」プログラム設立を公表し、その目的が「琉球地位未定論」の学術的裏付けと、日本による沖縄併合史の「脱構築」にあることを宣言。対日法律戦の「歴史・人権戦」を学術的な装いで補強する、戦略的マイルストーン Global Times (2025/11/19)

 

Ⅲ.国連への戦線拡大:日本の主権を狙う中国の真の戦略

今回の国連総会での中国大使の非難は、単なる対日外交の枠を超え、東アジアの戦後秩序そのものを中国有利に大転換(サンフランシスコ講和条約体制の打破)させることを狙った、極めて大規模な戦略の実行であることが明確になりました。

この事件は、中国の複合法律戦が持つ戦略的な本質を国際社会に露呈させた、最も重要なマイルストーンです。

1. 二人の大使による「主権否定」の戦略的連鎖

中国は、サンフランシスコ平和条約の否定という法的土台を背景に、二人の外交官を使い、以下の時間差攻撃で戦線を拡大しました。

外交官 時期 攻撃の目的 攻撃の手段 中国の達成目標
孫磊国連次席大使 2025年10月9日 琉球地位未定論の公式化 人権問題の枠組みを利用し、サンフランシスコ平和条約無効論と連動。「沖縄の主権は日本にない」という論理を国連の公的議事録に刻む。 沖縄を巡る「日本批判の論点化」に成功。沖縄の人々を先住民族とする差別批判を議論の場に上げ、今後も継続的に批判する戦略的布石が完成した。
傅聡国連大使 2025年11月19日 日本の国際的地位の否定 安保理改革という最高位の議題を利用し、「日本が平和の道を歩むという基本的な約束を公然と裏切った」と日本を批判し暗にポツダム宣言に基づく「再武装禁止」論を強調。 対日批判のポツダム宣言カードを国連の場に無傷で持ち込むことに成功した。

 

2. 戦略的成功と日本の課題

これまでの経緯をみると、中国は極めて戦略的な意図で、戦線を国連の場にシフトし、次の二つの成果を達成したことがわかります。

 

  • 法的土台は無傷: 日本の反論(外交的非難に留まった)では、中国が主張するサンフランシスコ無効論もポツダム宣言優位論という法的ロジックも崩すことができなかった。

·         危機的状況: 日本は反撃(サンフランシスコ平和条約を核とした法的論破)しなければ、構造的な主権の侵食は避けられない。

 

Ⅳ.分析の結論:主権強奪のメカニズムと中国の目的達成度

【結論】

この分析が導く結論は、中国の対日批判が、「靖国などの個別の遺恨」から「戦後秩序の法的根幹の否定」へと完全にシフトし、その戦線を国連に拡大するという、戦略的転換が成功裡に実行された、という事実です。

 

以下、その達成度をAIによって分析しました。

1. 中国の戦略転換達成度

中国は、ポツダム宣言拡大論や琉球未定論を国際的な場で発信する土台を短期間で獲得しました。これは、日本が中国の戦略を読み取ることができず、事前に阻止することに失敗したことを意味します。

達成目的の核心 達成度

(現時点)

日本の反論による影響と戦略的結果
サンフランシスコ平和条約無効論という法的陣地の公的刻印

(90%)

小〜皆無。日本の反論は「外交的な非難」への即時対応であり、サンフランシスコ平和条約/ポツダム宣言の法的解釈そのものには触れなかったため、中国の法的ロジック(土台)は無傷で残存した。(国際社会のコンセンサスはゼロであり、これからが議論の始まりである)
琉球地位未定論の公的な法的背景の獲得

(80%)

。法的議論の土俵が「戦後体制の根幹」に引き上げられ、中国は今後の活動の自由度を獲得した。
日本の行動制限の実行と国内世論への圧力

(90%)

皆無。防衛予算増額批判や経済的圧力(観光自粛・輸入停止)は、日本の政策を制限する法的攻撃として維持されている。

2. カウンターロジックの客観的評価:なぜ日本の反論は劣勢なのか?

フェーズBにおける日本政府の対外発言(日本外務省による主権主張など)は、個別の事案に対する「外交的な反論」に留まっており、中国が仕掛ける「複合法律戦」という戦略全体を構造的に把握した上での「法的カウンターロジック」にはなっていません。

客観的に見て、中国の戦略を唯一、正確に捉えていたのは、台湾の頼清徳総統の発言でした。頼総統は、中国の行動を「日本に対し複合的な攻撃を行い、インド太平洋地域の平和と安定に打撃を与えている」と公言し、本レポートが指摘する「複合法律戦」の構造そのものを国際的に認定・指摘しました。

日本の反論が**「沈黙の強制」と「法的陣地」の二重の罠**に陥っている一方で、台湾は、中国の戦略的意図と構造を正しく分析し、対日連携を訴えることで、日本の反撃(法的論破)の機会を提供したと言えます。

3. 予測される中国の次の戦略

中国は、すでに蒔いた「法律戦」の種を収穫するため、多層的かつ同時並行的な戦略に基づき、以下の行動を複合的かつ継続的に強化すると予測されます。

No. 次に打つ手 (予測される行動) 狙いと日本の緊急対応必須点
1 【サンフランシスコ平和条約関連国の分断とテコ化】

サンフランシスコ平和条約の署名国(例:英国、豪州、カナダ)に対し、外交関係をテコに、日本の安全保障政策を**「問題視する」**よう間接的な圧力をかける。

中国の狙い: 日本が国際法上の支持を失い、「国際的な背信者」の立場に立たされているというイメージを植え付ける。

対応: 日米豪印 (Quad) や、日英伊の共同開発体制を活用し、「サンフランシスコ平和条約こそが戦後秩序の根幹である」という共同声明のネットワークを早急に広げること。

2 【琉球学を活用した「法的根拠の捏造」と国連専門機関への拡散】

国連の専門機関(人権理事会など)や国際法廷(間接的)の場で、中国が支援する「琉球学(琉球地位未定論)」の研究成果「学術的知見」や「国連文書」という形で拡散する。

中国の狙い: 単なる外交的非難ではなく、「日本の沖縄統治には国際法上の問題がある」という「国際法上の議論」として認知を固定化させる。

対応: 日本外務省が国際法の専門家チームを結成し、これらのフォーラムで能動的にカウンターロジックを展開するとともに、「沖縄の歴史的経緯と主権確定」に関する英語での公式文書を国連へ提出すること。

3 【台湾有事における「行動制限」の実行】

日本の台湾有事における存立危機事態認定に対し、「日本の行動はポツダム宣言違反であり、国際法上の違法行為である」と、国際世論を背負った形で直接的な外交圧力をかける。

中国の狙い:: 日本の行動に法的リスクを負わせ、日米同盟の機動性を奪うこと。

対応: 日米共同で、**「国連憲章51条に基づく自衛権はポツダム宣言に優先する」ことを盛り込んだ共同防衛ガイドラインの改定・公表**を断行し、法的制約の試みを無力化すること。

Ⅴ.構造的守勢の打破:主権回復のための法的カウンターロジック

中国の法的攻撃を打ち破り、主権を回復するためには、国際法上の揺るぎない事実に基づいた「決定的反撃」を断行しなければなりません。

1. 「沈黙は承諾ではない」という外交的断言

政府は、過去の「四つの原則的共通認識」に対する沈黙が、中国の拡大解釈を国際法上、承諾したことにはならないと、国際社会に明確に断言すべきです。中国は外交的テコを利用しているに過ぎず、その主張には法的根拠が完全に欠落していることを、全方位で訴えなければなりません。

2. サンフランシスコ平和条約と国連憲章に基づく主権的対抗論の構築

中国の「サンフランシスコ平和条約無効論」「ポツダム宣言拡大解釈」に対するカウンターロジックの核は、以下の三点です。

  1. サンフランシスコ平和条約こそが主権回復の法的根拠である: 日本の主権的回復と現在の国際的地位は、1951年のサンフランシスコ平和条約によって最終的に確定しています。ポツダム宣言は降伏文書の前提に過ぎず、サンフランシスコ平和条約こそが戦後日本の国際法の基盤です。
  2. 自衛権は国連憲章で確立されている: サンフランシスコ平和条約第5条は、日本が国連憲章第51条に基づく個別的および集団的自衛権を持つことを明確に承認しています。
  3. 沖縄の主権的帰属は固有性に基づく: 沖縄は、日本固有の領土として、戦後米軍の施政権下に置かれていた時代も潜在的な主権は常に日本に留まっていました。サンフランシスコ平和条約第3条に基づく米国の施政権返還を経て、1972年に施政権が日本に復帰したのです。中国の「琉球地位未定論」は、この固有性を無視する歴史的、国際法的に完全な虚偽です。

 

Ⅵ. 主権回復のための三つの緊急作戦

この言葉の戦争に打ち勝つために、政府は「平時」の幻想を捨て、以下の三つの緊急作戦を直ちに実行すべきです。

  1. 【緊急作戦 1:全省庁横断の主権防衛体制の構築】
    • 「対法律戦略指揮本部」の設立: 中国の攻撃は多方面に渡っているため、外交・防衛・経済・法務の省庁が縦割りを廃し、NSS(国家安全保障局)主導で中国の複合戦略に即応できる常設の指揮本部を直ちに設立し、「即座に反論する」体制を確立すること。
  2. 【緊急作戦 2:日米共同による法的防波堤の構築】
    • 日米共同の「主権確認声明」の発表: サンフランシスコ平和条約の主要当事者である米国と共同で、「日本の主権の法的正当性はサンフランシスコ平和条約により確立されており、中国の拡大解釈は国際法上の根拠を欠く」ことを再確認する閣僚級以上の共同声明を速やかに発表し、中国の法的攻撃に対する国際的な「壁」を築くこと。
  3. 【緊急作戦 3:沖縄を「主権的対抗論の国際的な情報発信の拠点とせよ」】
    • 沖縄の危機感を国策の核に: 中国の世論戦の標的となっている沖縄を、逆に主権的対抗論の国際的な情報発信拠点と位置づけること。石垣市など、沖縄の地域社会が抱く切実な危機意識を、日本政府の対外発信戦略のとして最前線で活用すべきです。

国際社会に「公平な法廷」は存在せず、受け身の姿勢は、中国の戦略的意図により「被告の席」に立たされ、主権を失ってしまいます。政府は今、本報告書が分析した中国の複合戦略の全貌を正しく認識し、国民の負託に応えるため、本報告書を参考にして、国際法に基づいた主権防衛策を断行してくださるようお願いいたします。

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