中国の尖閣を隠れ蓑にした沖縄主権剥奪18年戦略
〜誰も気が付かなかった、「一石三鳥の罠とは?」(2008-2026)
2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件から始まった一連の事態。それは単なる領土争いではなく、沖縄の主権を根底から解体する緻密な18年にわたる深慮遠謀な大戦略でした。その準備の結果、現在あらゆる角度からの日本攻撃が始まっているのですが、その実態は、準備が完了して沖縄の主権剥奪の刈り取り段階が始まったと言えます。
以下の分析は、その根拠となる2008年の先住民族勧告、そして2010年の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件から、①尖閣諸島を「隠れ蓑」にし、②宮古海峡の軍事的突破と③沖縄全体の主権剥奪を狙う中国の「一石三鳥」の全貌を示します。それぞれ個別の事案を統合し時系列に並べると、隠れた中国の本当の狙いが見えてきます。
Ⅰ. 分析:何故「2010年」が起点となったのか
2010年9月の衝突事件は、中国が対日・対米戦略を「静かな浸透」から「力による現状変更」へと転換させる絶好のテストケース(契機)として利用されました。その背景には、以下の三つの戦略的判断がありました。
- 日米同盟の動揺: 2009年の政権交代後、当時の日本政府による「東アジア共同体」構想や普天間基地移設問題をめぐる摩擦を突き、同盟の耐久力と日本の危機管理能力をテストした。
- 中国の経済的・軍事的自信: GDP世界2位となり、周辺海域における主権主張をそれまで以上に強硬化させる経済的・軍事的実力を備えた。
- 戦略的先行: 米国のアジア回帰(リバランス政策)が本格化する前に、東シナ海での既成事実化を狙った。
Ⅱ. サラミスライス作戦と法的包囲の連動:沖縄主権剥奪工作の時系列記録(2008-2026)
赤字:琉球独立プロパガンダ / 青字:軍劇的既成事実化
| 年度 | スクランブル | 宮古通過 | 領海侵入 | 接続水域 | 入国者 | 在留中国 | 主要事案・措置(詳細記録:要約厳禁) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2008 | 31 | 0 | 0 | 0 | — | 65.5 | [国連勧告] 10月、国連自由権規約委員会(CCPR)が日本政府に対し「沖縄県民を先住民族として公式に認めるよう」初の勧告。認知戦の国際法的「種火」となる。 |
| 2009 | 38 | 0 | 0 | 0 | 101 | 68.0 | 日本人入国者は約101万人。航空自衛隊はロシア機への対応が中心。 |
| 2010 | 96 | 0 | 0 | 5 | 141 | 68.7 | 9月7日:尖閣諸島漁船衝突事件発生。 直後より唐淳風らが「琉球は日本の領土ではない」「琉球回復」論を本格化。3月、国連人種差別撤廃委員会(CERD)も「先住民」勧告。 |
| 2011 | 156 | 0 | 1 | 12 | 104 | 67.4 | 東日本大震災の影響で訪日客減少。野田首相訪中。 |
| 2012 | 306 | 0 | 23 | 211 | 142 | 65.2 | 9月11日:尖閣国有化。中国「天気予報」開始。9月25日:中国政府『釣魚島白書』発行。ポツダム宣言を盾に法律戦を開始。 |
| 2013 | 415 | 2 | 52 | 232 | 131 | 64.8 | 7月24日:初の宮古海峡往復飛行。ADIZ設定。 人民日報「琉球問題は未解決(琉球再議)」論文。沖縄で「琉球民族総合独立研究学会」発足。 |
| 2014 | 464 | 4 | 32 | 231 | 240 | 65.4 | 11月7日:「4つの原則的共通認識」合意。中国は「日本が領土問題を認めた」と捏造・独自解釈。 国連CCPR・CERDが重ねて「沖縄県民を先住民族として認めよ」と勧告。 |
| 2015 | 571 | 8 | 35 | 243 | 499 | 66.5 | 9月21日、翁長知事が国連演説。中国メディアはこれを「琉球の自己決定権」として増幅報道。 |
| 2016 | 851 | 18 | 36 | 211 | 637 | 69.5 | 中国空軍「繞島巡航(台湾周回パトロール)」を始動。第一列島線突破を公然と宣言。 |
| 2017 | 500 | 21 | 29 | 171 | 735 | 73.0 | 12月「繞島巡航」を定例化。宮古海峡通過を軍事的既成事実として常態化させる。 |
| 2018 | 638 | 14 | 19 | 159 | 838 | 76.4 | 8月、国連CERD三度目の勧告。沖縄の基地問題を「人権侵害」とするフレームワークを国際的に定着させる。 |
| 2019 | 675 | 17 | 32 | 282 | 959 | 81.3 | G20大阪サミット。訪日客数が過去最高(959万人)。物理的緊張の裏での浸透が最大化。 |
| 2020 | 458 | 10 | 24 | 333 | 106 | 77.8 | 石垣市「登野城尖閣」郵便番号付与。王毅外相来日。「不当な言いがかり」発言。航空自衛隊がスクランブル対象を「領空侵犯の恐れが高い事案」へ厳選・絞り込む運用変更を発表。 |
| 2021 | 722 | 15 | 34 | 332 | 4 | 71.6 | 1月22日、中国海警法成立。空母「遼寧」艦隊が宮古海峡通過を定例化。 |
| 2022 | 575 | 24 | 28 | 336 | 18 | 76.1 | 日中国交正常化50周年。中国ミサイルが日本のEEZ内へ落下。 |
| 2023 | 479 | 22 | 34 | 352 | 242 | 82.1 | 習近平「琉球交流」言及。玉城知事訪中・国連演説を中国側が全面支援。 |
| 2024 | 464 | 28 | 39 | 353 | 680 | 87.3 | 8月26日:中国軍機による初の領空侵犯が発生。 |
| 2025 | *448 | *25 | *32 | *357 | *820 | *90.2 | 孫磊大使「沖縄先住民」発言。[決定的なナラティブ・ウォー開始] 高市総理答弁に対し、中国外交部が初めて口頭で公式に「ポツダム宣言の遵守」を要求。日中共同声明に基づき、沖縄の主権放棄か日中友好の破綻か、二者択一を迫る罠を仕掛けた。12月2日、国連CERDが対日審査「課題リスト」採択。辺野古、PFAS、遺骨返還、歴史教育を人権問題として問う。CGTN「琉球の悲劇」公開。 |
| 2026 | — | — | — | — | — | — | 1月13-14日:GSAF宮古島視察。「中国脅威論は真実ではない」と強弁。防衛拠点を「帝国主義の犠牲地」として再定義。 |
Ⅲ. サラミスライス作戦のグラフ化(2008-2026)
※上図:空域(スクランブル)、海域(接続水域)、社会(人的交流)の三要素がいかに同期し、日本の防衛網と主権を摩滅させてきたかを示す実証データ。2016年の軍事的ピークと2025年の主権剥奪攻勢の連動が鮮明に読み取れる。
Ⅳ. 法律戦の核心:『共通認識』から『ポツダム宣言』への論理の橋渡し
中国が「4つの原則的共通認識」の遵守を執拗に強調する真意は、日本の戦後主権の根拠を「サンフランシスコ講和条約」から「ポツダム宣言」へと強制的に引き戻し、日本の領土権そのものを解体することにあります。この論理のすり替えには、以下の四つの詳細なステップが存在します。
- サンフランシスコ講和条約(SF条約)の「違法・無効」論(2012年〜): 中国は、1951年のSF条約を「主要な当事国である中国を排除した一方的で国際法上無効な条約」と断じ続けている。これにより、沖縄(琉球)および尖閣諸島を米国の施政権下に置き、後に日本へ返還させた法的根拠(SF条約第3条)そのものを全否定する。中国の狙いは、沖縄の日本帰属を支える「条約体制」を崩壊させ、法的空白(テラ・ヌリウスに近い状態)を作り出すことにある。
- 「共通認識」を「法的敗北」へ導く外交的陥穽(2014年〜): 2014年の合意で「双方が異なる見解を有していると認識する」という文言を、中国は「日本が領土紛争の存在を公式に認めた歴史的譲歩」と捏造した。この「紛争の存在」という既成事実を日本に「遵守」させることで、SF条約に基づき日本が守ってきた「固有の領土であり紛争は存在しない」という法的鉄壁を内側から食い破ったのである。
- ポツダム宣言第8条への「強制回帰」と領土解体(2020年〜): 王毅外相らが求める「共通認識の遵守」とは、実質的に「SF条約体制を破棄し、ポツダム宣言の文言(中国独自の解釈)に従え」という主権否定の要求である。中国はポツダム宣言第8条を「日本の主権は本州・北海道・九州・四国の四島に限定される」と極論化して解釈し、沖縄や尖閣を「日本が暴力と強欲により盗取した領土(カイロ宣言)」と位置づけ、その「剥奪」を正義として世界に宣伝している。
- 国際機関(国連)の法的「弾薬」としての利用(2008年〜2025年): 2008年から現在に至る累次の国連勧告(CERD等)を利用し、沖縄県民を「先住民族(Indigenous Peoples)」として国際的に固定化させる。これにより、日本の沖縄統治を「人権侵害に基づく植民地支配」と定義し直し、SF条約が定めた日本の主権行使を「国際法(人権法・民族自決権)違反」という枠組みで包囲・無効化する、極めて高度な「人権の武器化」を完成させている。
Ⅴ. 分析:中国による「一石三鳥」戦略の全貌
- 隠蔽(カモフラージュ): 尖閣を隠れ蓑にした沖縄全体の主権剥奪工作。
- 軍事的突破: 宮古海峡の無効化と台湾周回訓練による太平洋出口の確保。
- 法律戦: 戦後秩序の再定義(ポツダム宣言の武器化)による日本主権の否定。
サラミスライス戦略:段階的な『常態化』の完成プロセス
中国はこの18年間、一度も「宣戦布告」をすることなく、日本の主権をサラミスライスのように削り取ってきました。その進展は以下の五つの段階的な「常態化」によって完成されようとしています。
- 第1段階:認知の常態化(2008年〜2010年)
国連勧告を利用し「沖縄=先住民」というナラティブを国際社会の公文書に刷り込む。沖縄問題を「日本国内の統治問題」から「国際的な人権・植民地解放問題」へと定義変更させることに成功した。 - 第2段階:物理的プレゼンスの常態化(2012年〜2013年)
尖閣周辺の接続水域入域を「年間ほぼ毎日」へと引き上げ、実効支配の実績を摩滅させた。同時に空軍が宮古海峡を突破し、第一列島線を無効化する飛行を常態化。 - 第3段階:ポツダム宣言遵守の常態化(2014年〜2020年)
目に見えない最大の罠。「4つの原則的共通認識」という曖昧な合意を盾に、「共通認識を遵守せよ」という要求を外交儀礼の中に定例化させた。その実態は、日本の主権の根拠をSF条約体制から、沖縄を日本の領土から除外する「中国流ポツダム宣言解釈」へと強制送還させるプロセスであり、日本の反論を封じ込める外交的陥穽を完成させた。 - 第4段階:軍事・法執行の法制化と高度化(2021年〜2024年)
海警法制定により物理的圧力を法的暴力へと昇華させ、空軍の「台湾周回」をルーチン化。2024年には初の領空侵犯を敢行。これにより「日本の領空・領海での自由な行動」という既成事実を常態化。特筆すべきは2020年以降、航空自衛隊が機材・人員の摩耗を防ぐためスクランブル対象を厳選し絞り込む運用へ変更したにもかかわらず、回数が依然として高止まりしている事実である。これは、中国側の挑発が「量」から、より領空侵犯に近い「深刻な質」へとシフトし、日本の防衛網を極限まで圧迫し続けていることを示している。 - 第5段階:主権否定の刈り取り開始(2025年〜2026年)
2025年の高市総理答弁への公式要求を機に、ナラティブ・ウォーが実施段階へ移行。「先住民の権利」と「ポツダム宣言」を融合させ、日本政府に沖縄の主権防衛か友好維持かの二者択一を迫る。宮古島工作は、この法的包囲を内側から補完するものである。国連CERDの「課題リスト」に辺野古・PFAS・歴史教育をねじ込み、主権行使を国際法違反と定義。2026年、宮古島でのGSAF工作により、防衛の要を「帝国主義の犠牲地」と定義し、内側からの物理的解体に着手。
1. 隠蔽(カモフラージュ):沖縄全体への主権剥奪
尖閣という無人島をめぐる限定的な領土争いを前面に押し出し、国際社会の耳目をそこに縛り付けた。その「隠れ蓑」の裏で、着々と「琉球先住民ナラティブ」を育成し、戦後80年(2025年)に向けた「沖縄全体の主権再審請求」への準備を進めてきた。尖閣への不当な言いがかりは、より巨大な野心である「沖縄全体の日本からの分離」を隠し、段階的に正当化するための前哨戦であったと言える。
2. 軍劇的突破:太平洋への出口確保(宮古海峡の無効化と台湾周回)
「自国の主権(尖閣)を守る」という大義名分のもと、公船の遊弋や空軍の「繞島巡航(台湾周回)」を常態化させた。これにより、第一列島線の急所である宮古海峡を「中国軍の自由な通路」として既成事実化させた。
抑止力の摩滅: スクランブルと海峡通過を日常化させることで、自衛隊の機材と人員を疲弊させ、第一列島線を「物理的・心理的」に突破し、太平洋への突破口を確立した。
3. 法律戦:戦後秩序の再定義(ポツダム宣言の武器化)
2025年末に激化した「ポツダム宣言遵守」要求、国連による「先住民族」認定の推進、そして2026年からの「グローバルサウス」の枠組み。これらはすべて、日本の沖縄統治を「西洋帝国主義の残滓」と定義し、日本を「戦後秩序の破壊者」と定義づけることで、日本の領土権を根底から解体する総力戦である。
用語解説・略称一覧
- SF条約(サンフランシスコ講和条約)
- 連合国と日本の平和条約。日本の主権回復を定めたが、中国は「自国が排除された」として、第3条(沖縄・尖閣)の無効を主張し続けています。
- ADIZ(防空識別区 / Air Defense Identification Zone)
- 防空上の警戒空域。中国は2013年に一方的に設定し、尖閣周辺での軍事的プレゼンスを正当化する道具として常態化させています。
- CERD(国連人種差別撤廃委員会)
- 沖縄県民を「先住民族」と認めるよう繰り返し勧告。中国の主権剥奪工作を「人権」の枠組みで正当化する「法的弾薬」となっています。
- CCPR(国連自由権規約委員会)
- 自由権規約の遵守を監視する組織。2008年以降、沖縄の「自己決定権」や「先住民認定」を煽る勧告を日本に突きつけています。
- PFAS(有機フッ素化合物)
- 中国は基地周辺での検出を「先住民族に対する人権侵害・環境破壊」というナラティブに接続し、基地撤去運動の加速に政治利用しています。
- GSAF(グローバルサウス学術フォーラム)
- 中国の大学が主導し、沖縄の基地問題を「西洋帝国主義による抑圧」と再定義する国際的な認知戦・工作の最前線となっている組織です。
- CGTN(中国国際テレビ局)
- 動画「琉球の悲劇」などを通じ、世界に向けて「日本の沖縄主権否定ナラティブ」を発信するプロパガンダの主力機関です。
- EEZ(排他的経済水域)
- 沿岸国が資源権利を持つ水域。中国は尖閣の領有を主張することで、この広大な水域と資源の奪取を狙っています。
- ポツダム宣言(第8条)
- 中国は「日本の主権は四島に限定される」と極論解釈し、沖縄・尖閣を「日本が略奪した土地」として剥奪を正当化する論理の柱としています。
- サラミスライス作戦
- 大規模な衝突を避け、気づかれない程度の小さな既成事実化を積み重ねることで、最終的に目的の現状変更を達成する中国の常套手段です。
Ⅵ. 結論:言葉の罠を排した「主権回復」への道
中国の戦略は、2026年、ついに国連の「先住民ナラティブ」とグローバルサウスの「反帝国主義ナラティブ」を融合させた最終段階に達した。「尖閣」という点を攻め、「宮古海峡」という線を越え(台湾周回)、「沖縄」という面の主権を、国際的な「人道的・解放運動」の名の下に解体しようとしている。 2026年1月の宮古島での工作が示す通り、彼らは今や、日本の防衛の要を「帝国主義の象徴」として攻撃する段階にある。日本側は、この「平和・人権・学術」という美しい衣を纏った浸透工作の正体を暴き、SF条約という国際法上の強固な現実と、揺るぎない行政実績という事実に立ち返り、中国の捏造されたナラティブを徹底的に解体しなければならない。



コメント