【新発見!沖縄147】全国最後、読谷村が国民保護計画作成へ! 〜義務の拒否から方針転換、村民を守る責務を果たすためには必要〜

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新発見!沖縄147

                 全国最後、読谷村が国民保護計画作成へ!

〜義務の拒否から方針転換、村民を守る責務を果たすためには必要〜

(2022年7月12日 八重山日報掲載 )

前回は、沖縄県は革新政権であるにもかかわらず、沖縄県の国民保護行政は、革新団体や沖縄の新聞が扇動とする方向と逆に、全国でトップクラスの危機認識で動き始めていることを述べました。沖縄県では何年かおきにローテーションで回ってくる国が主催する訓練を待つことなく、今年度末に県独自の図上訓練の実施を予定しております。また、市町村の意識も変わりつつあると感じさせる動きも出始めています。

6月25日付けの琉球新報の報道によると、24日、テロや外国からの武力攻撃に備える国民保護法に基づき、市町村が担う国民保護計画の策定に必要な手続き条例案を賛成多数(賛成13,反対5)で可決したとのことです。国民保護法とは、平成16年に成立した法律で、武力攻撃事態において、国民の生命・身体・財産を守り、国民生活に与える影響を最小にするために、国、・地方公共団体等には、避難、救援、武力攻撃災害への措置の役割が定められた法律です。各自治体が法律定められた役割を円滑に実施することができるように作成が義務付けられたのが国民保護計画です。沖縄県では、平成18年3月31日に作成が完了し、その後、変更を8回重ねられ現在に至っています。沖縄県の計画に基づき、各市町村でも国民保護計画が策定されていましたが、読谷村だけが未作成の状態になっていました。読谷村は全国においても唯一国民保護計画の作成を拒んでいる自治体だったのです。

  前述した琉球新報の報道によると、石嶺伝実尊重は「米軍の本島上陸の地であり悲惨な過去を有するための条例の提案には葛藤があった」からと住民の感情を国民保護計画の作成を行なわな勝った理由と述べています。それが、「中国による海洋進出やロシアのウクライナ侵攻など、世界情勢が悪化している中で、村民を守るという責任を果たすには必要だった」と方針を転換した理由を説明したとのです。読谷村は、今回の条例可決により、10月頃に国民保護計画の策定に向け、国民保護協議会の初会合を開催予定です。

このように、これまで現実の驚異に目を閉じ、基地反対のみで平和を叫んで来た革新政治も、実際に他国に国土が武力攻撃受けた事態を直視しなければならない状態になってきているのです。

また、台湾有事の際、真っ先に巻き込まれる可能性の高い八重山の市町村も動き出しました。7月6日、八重山市町会(石垣市、竹富町、与那国町)の中山義隆会長(石垣市長)ら3市町長は県庁を訪れ、台湾有事などで八重山への武力攻撃が起きた場合を想定し、万全の体制を構築するよう要請しました。要請項目には、住民避難に向け、国など関係機関と連携したシミュレーションを定期的に実施することや、避難シェルター整備に向けた支援なども含まれていました。避難シェルターは住民の避難完了までの住民の安全を守る施設として、県が主体的に整備することも含めて要望。十分な食料など物資の備蓄にも支援を求めました。また、年末に開催予定の県主催のシミュレーションには、3市長もオブザーバーではなく、メンバーと参加することも要望。前泊正人竹富町長は、「島々には一時避難できる施設は少ない。実際にみていただいて、国境離島を一緒になって保護してほしい」、糸数健一与那国町長は、「小さな与那国で住民を保護するのは物理的にも困難がある。先島地区が連携して対応したい」と述べました。

このように、先島諸島の市長と町長は、台湾有事を現実に起きるものとの共通認識を持ち、大きな危機感を持って動き出しています。特筆するべきことは、与那国島も自衛隊が配備され、石垣島も陸自駐屯地の配備の準備工事が進められていますが、台湾有事の際、島民の保護は自衛隊の責務ではなく、自治体、そして島外避難においては沖縄件が大きな責任を持つことを認識していることです。次回は沖縄県が行うシミュレーションについていくつか提言を述べたいと思います。