沖縄対策本部長■矛盾と野望だらけの辛亥革命100周年記念式典 in北京

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先月10月10日には、ありえない式典が北京で開催されました。

辛亥革命100周年記念式典が中華人民共和国で開催されたのです。

辛亥革命の指導者は孫文であり、中華民国の初代の大統領であり、国民党の樹立者です。

国民党は、大東亜戦争の終戦後、中国共産党との内戦にやぶれ、1949年に中華民国政府が台北に遷都しました。

それ以後は、台湾を地盤とした政党として存続し現在にいたっています。

現在の北京の中国共産党は、孫文のつくった中華民国、中国国民党と長い間敵対関係にあったのです。

その中国共産党が孫文の写真をかかげて式典を開催するというありえない事が起こったのです。

まず、読売新聞の報道を掲載いたします。

<胡錦濤総書記、中台統一呼びかけ…辛亥革命百年>

( 読売新聞 2011年10月10日13時18分 )

http://www.acs.yomiuri.co.jp/world/news/20111010-OYT1T00295.htm

【北京=加藤隆則】

中国の胡錦濤・共産党総書記は9日、北京の人民大会堂で開かれた辛亥革命100周年記念大会で演説し、清朝を倒した同革命の主導者・孫文が唱えた「中華振興」を強調、中台を結ぶ「中華民族」を前面に出しながら統一を呼びかけた。

中国にとって同革命は、国民党を指導した孫文を「国父」と仰ぐ台湾との重要な接点だ。ただ、台湾側は対中接近に慎重な構えを崩していない。

胡氏は約20分間の演説で、「中華振興」「中華民族の偉大な復興」のスローガンを計30回以上使った。列強の侵略を受け、分割の危機にさらされた中国を救おうと孫文が訴えた理想だ。

胡氏は、孫文が「統一は全中国国民の願いだ」と述べたことを引用し、「平和的に統一を実現することは、台湾同胞を含む全中国人の根本的な利益に最も合致している」と訴えた。

また、「愛国主義は中華民族の精神の核心」としたうえで、「最も幅広い愛国統一戦線」を固めるよう求めた。中台については特に「血のつながっている運命共同体だ」と強調した。

第2次大戦後、国民党と共産党が戦い、国民党が台湾に逃れた国共内戦については、「対立を終わらせ、歴史的な傷痕を癒やす」との表現にとどめ、「中華民族」の伝統文化を発揚しながら、苦楽を共にする同一民族としての意識を強めるべきだとの考えを示した。

読売新聞の記事では概要はわかりますが、何が問題なのかは全くわかりません。

次に、新華社通信の報道を掲載いたします。

胡錦濤の主張をわかりやすく伝えているので、中国共産党の主張が明確にわかると思います。

<新華社:中華振興を両岸同胞の共通の努力目標に 胡錦濤主席強調>

(新華社網 2011-10-10 09:55:35)

http://big5.xinhuanet.com/gate/big5/jp.xinhuanet.com/2011-10/10/c_131182094.htm

中國の胡錦濤國家主席は9日午前、北京の人民大會堂で開かれた辛亥革命100周年記念大會で演説し、その中で孫中山(孫文)先生と辛亥革命先駆者の中華振興の大きな願いは(臺灣海峽)両岸同胞が共に追求するものとすべきで、手を攜えて両岸関係の平和的発展をはかり、心を一つに中華民族の偉大な復興を実現することを両岸同胞の共通の努力目標としなければならないと強調し、次のように述べた。

「両岸同胞は血のつながった運命共同體であり、大陸と臺灣(たいわん)は両岸同胞の共通の故郷である。現代は両岸の中國人が共に繁栄、発展し、中華民族の偉大な復興をはかる歴史的チャンスを迎えており、両岸関係の平和的発展が中華民族の偉大な復興の重要な部分となっている」

「孫中山(孫文)先生はかつて『統一』は中國の全國人民の希望である。統一できれば全國人民は幸福を享受する。統一できなければ害を受ける」

「平和的方法で統一を実現することは臺灣(たいわん)同胞を含む全中國人民の根本的利益に最もかなうものである。両岸関係の平和的発展の主題をしっかりつかみ、『臺灣獨立』に反対し、『9・2共通認識』を堅持する共通の政治的基礎を強め、両岸同胞の緊密な交流・協力を促進し、両岸関係の平和的発展による成果を共有し、両岸の経済競爭力を高め、中華文化の優れた伝統を発揚し、苦楽を共にする民族のアイデンティティーを強め、前進途上におけるさまざまな問題を解決し、両岸の対立を終わらせ、歴史的な傷をいやし、中華民族の偉大な復興実現に共に努力しなければならない」

中国政府がこの式典を開催した目的は、結局のところ「何が何でも台湾統一するべきだ!」という野望が見えてきたと思います。

次に大紀元の報道を掲載いたします。

この北京で行われた「辛亥革命100周年記念式典」の矛盾と野望について詳しく解説しています。

下記に転載いたしましたので是非、ご覧下さい。

中国政府が歴史をねじ曲げてでも大々的な式典を開催するということは、台湾統一を本気で考えてきている事の証明だといえます。

統一戦線工作による統一の人民解放軍による武力統一のどちらでやってくるのかわ全くわかりません。

しかし、来年に台湾総統選に向けて、または、総統選挙の後に中国政府が台湾統一に向けて動き出す可能性があると感じます。

今後、警戒が必要だと思います。

(仲村覚)


<大紀元:辛亥革命100周年 統一野望を前面に 「民主共和の道遠し」>

【大紀元日本10月10日】

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/10/html/d82537.html

2000年以上続いた中国の君主政治を終わらせ、アジア初の共和制国家を樹立した辛亥革命(1911年)から今日で100周年を迎える。中国国内では新たな「革命」への厳戒態勢が敷かれる中、北京の人民大会堂で大々的に記念式典が開かれた。

今回の式典で、100年前の辛亥革命を利用して台湾独立の動きをけん制し、中台統一をはかろうとする北京当局の姿勢が前面に出された。

■ 「辛亥革命を記念する資格はない」

辛亥革命が唱える「民主共和」と大きく乖離する共産党政権の強権政治。その政権の中枢である9人の中央政治局常務委員9人が全員、9日に開かれた記念式典に出席した。ドイツ政府系メディア、ドイチェ・ベレは、北京当局が記念行事を開催する動機は「辛亥革命の核心価値から完全に離れている」と批判した。

「共産党政権にとって辛亥革命の最も重要な意義とは、中国の民主化革命の推進ではなく、清王朝を終焉させ、その後の共産党の台頭に道を敷いたことである」と指摘する。

また記事は、辛亥革命は民主革命であるのに対し、共産党がその後に行った革命は私利私欲のための政権奪取の革命であると批判。その目的が実現された後も、一連の政治と人権に及ぶ災難で国民を苦しめた党は、庶民とは相反する立場に立つと非難した。

そのため、政権の指導部が辛亥革命を「記念」する一方で、民間での記念行事が禁止されている。民主活動家らに対しての監視が強められており、各地の路上警備も増強されている。「まるで叶公好龍(龍が好きだという叶公が本物の龍を恐れる)だ」。記事は中国の故事成語を用いて中共の矛盾する姿勢を揶揄した。党は、口先では辛亥革命を称えながらも、内心では同様な革命が起こることを極度に恐れている。

さらに、記事は現在の共産中国と辛亥革命後の中華民国の時期とを比較した。「文化、環境、人文などにおいて、いずれも明らかに後退している」と指摘。「現行制度や指導者の操行からいうと、当局は辛亥革命を記念する資格はない。それなのに、堂々と大々的に行っていることはまったくの茶番劇だ」と痛烈に批判した。

■ 「統一」への野望

記念式典では胡錦濤国家主席は「重要演説」を行い、「中国共産党員は孫中山(孫文)先生の革命事業の確固たる支持者であり、最も忠実な継承者である」と自らの正統性を称えた。また、演説で「孫中山先生や辛亥革命が主張した中華振興の大願は海峡両岸(中台)の同胞がともに追求すべき目標」「現在、両岸の人民は、ともに中華民族の偉大な復興を実現する歴史的チャンスを迎えている」と台湾統一を訴える表現が随所に見られた。

今まで中共が辛亥革命を記念する目的は、共産党こそ孫文や辛亥革命の精神を受け継いだとアピールすることに止まっていたが、今回の100周年記念では「統一」への野望をあらわにしていた。

民族・民権・民生という孫文が掲げた三民主義において、胡主席が強調したのは民族主義。演説の中で、「中華民族の偉大な復興」という表現を23回繰り返した胡主席は、台湾側に「平和的な方式で統一を実現することは台湾同胞を含む中国人民の根本的な利益に最も合致するものだ」と呼びかけ、孫文が提唱した民族主義を用いて「統一」への目論みを前面に出した。

■「民主共和に道遠し」

一方、三民主義の「民権」と「民生」には触れていない。100年前の辛亥革命は2000年以上続いた専制統治を打破したが、1949年からの共産党政権でまた専制統治に逆戻りした。今の中国では、民主・自由を求める活動人士が監視され投獄されており、厳しい情報統制の下で人々は真相から遠ざけられ弱者が切り捨てられている。際限ない開発で自然環境の悪化が深刻さを極めており、社会道徳も地に落ちている。食品問題や鉄道問題、庶民の日常に不安が溢れる。「民権」の萎縮と「民生」の困窮。継承者と自任する共産党政権の営みは孫文が掲げた三民主義からほど遠い。

「『民権』を尊重しない国は『民族』の復興など実現できない」とドイチェ・ベレの記事は断言し、辛亥革命100周年に際し、当局は「自己満足ではなく、負い目と後ろめたさを感じるはずだ」と指摘した。

中国人民大学の張鳴・政治学教授は、100年前は中国が制度の変革を迎えていたが、100年後の今も変革が迫っていると指摘。100年経っても中国は現代国家を建設する使命が果たせていないとの見方を示した。また、中国社会科学院の姜涛氏は、中国では「真の民主、平等は今も実現できていない」とし、孫文が目指す「民主共和には道が遠い」と語った。

一方、辛亥革命のもう一人の当事者・台湾では10日、「中華民国建国」を祝う100回目の式典が開かれた。辛亥革命の翌年に成立した中華民国は、台湾で存続しているという立場をとる。

9日の記念活動に参加した馬英九総統は、「国父・孫中山が中国大陸で実現できなかった理念を、台湾で徐々に実現してきた」「今日、台湾で実現された自由と民主は、国父の革命に恥じることはない」と、辛亥革命の精神を継承したのは台湾だと主張した。