沖縄対策本部長■実は、北朝鮮のミサイル発射を阻止する気が全くない中国

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■実は、北朝鮮のミサイル発射を阻止する気が全くない中国

新聞やテレビでは北朝鮮のミサイル発射を断念させるためには、最も北朝鮮と交流のある中国の協力が不可欠であり、中国が頼みの綱であるような報道がサれています。そして、3月26~27日ソウルで開催された第2回核安全保障サミットでは、中国の胡錦濤が北朝鮮に発射の中止を呼びかけている事を明らかにしたと報道されました。
しかし、中国国内ではその事についての報道されておらず、大きな矛盾があります。
また、同日の中国網日本語版には、北朝鮮のミサイル発射には全く危機感を示さず、日米のミサイル迎撃体制に対して危機感を示しています。つまり、中国は北朝鮮のミサイル発射を阻止する気は全くなく、逆に日米のミサイル迎撃体制に対して脅威を持っているのです。

それでは、第2回核安全保障サミットでは、中国の胡錦濤が北朝鮮に発射の中止を呼びかけた事を明らかにしたという報道からご覧下さい。

<中国主席、北朝鮮に発射中止を働きかけ(TBS 3月26日)>

北朝鮮は人工衛星と称する長距離弾道ミサイルの発射準備を着々と進めています。こうした中、26日、韓国のソウルで始まった核安全保障サミットで、中国の胡錦濤国家主席が­北朝鮮に発射の中止を働きかけていることを明らかにしています。


しかし、同日のTBSニュースでは、新華社通信は「中国はミサイル発射の中止を働きかけている」という胡錦濤の発言については全く報道していないと報道されていました。

<「発射中止働きかけ」発言、新華社報じず(TBS 3月26日)>

韓国・ソウルで行われた中韓首脳会談で、北朝鮮情勢をめぐって韓国側が明らかにした「中国はミサイル発射の中止を働きかけている」という胡錦濤国家主席の発言について、中­国国営の新華社通信は、この内容を一切報じていません。


ロイター通信が報道する核安全保障サミットでのオバマ大統領と胡錦濤の会談の報道は、日本のメディアの報道とかなりニュアンスが全く異なります。

オバマ大統領が胡錦濤国家主席に釘を刺すように話しかけているシーンが報道されています。

<「見てみぬふりをするな!」と胡錦濤に釘をさしたオバマ米大統領 >

オバマ大統領が中国の胡錦濤国家主席と会談しイランと北朝鮮の核開発問題の打開は両国共通の利益だと言明。

オバマ大統領:
「両国が共通の利害を有していると認めているのは核非拡散と核の管理強化に関する国際規範の重要性だ」

二大経済国家である米中首脳は核安全保障サミットの開催地ソウルで会談。オバマ大統領は、25日「見てみぬふり」」をやめるよう釘を刺した。

オバマ大統領:
「米中間の協力、協調は極めて重要だ。それは両国だけでなく世界の利益になる。」

大統領は25日、中国に対し北朝鮮の各問題で影響力を行使するよう要請。また北朝鮮には実施すれば制裁を強化すると述べ4月のミサイル発射実験を強行しないよう警告した。­(ロイター=共同)

■中国が警戒しているのは北朝鮮のミサイルではなく日米の迎撃ミサイル体制

ここまで、見ると中国は北朝鮮にミサイルの発射を阻止する気が本当は無いのではないかと思えてきます。それを決定づける記事が中国網日本語版に掲載されていました。

この記事を読む限り、中国が警戒しているのは北朝鮮のミサイルではなく、日米の迎撃ミサイル体制なのです。

ということは、中国と北朝鮮とは実質軍事同盟であり、日米韓と冷戦が始まっているという事になります。

下記、中国網に新聞記事をご覧下さい。中国の考えが日本人の理解の範囲を超えていることがわかると思います。

<米日の対朝迎撃ミサイル体制に潜む狙い(3月26日)>

(「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年3月26日)http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2012-03/26/content_24988471_2.htm

朝鮮は金日成主席生誕100周に当たり、4月に自国の力と技術で製造した実用衛星「光明星3号」打ち上げると発表してから、日本に緊張が走った。日本の専門家は、朝鮮が打ち上げた衛星とロケットが日本の空域に入った場合、沖縄上空を通過する可能性が最も高いとの判断を示した。日本政府は23日、航空自衛隊に防空システムを準備し、朝鮮が計画している衛星打ち上げに対応するよう指示した。

◆海上迎撃ミサイルの実力で日本はアジア一

(資料写真:日本が購入したスタンダードSM-3迎撃ミサイル)

日本と朝鮮の衛星から生じた「もめごと」は表面上は中国とあまり関係ないことのようであるが、実際には日本のこうした動きは米日軍事同盟下の共同迎撃ミサイル体制が中国のすぐそこまで来ていることを示唆している。

1998年に朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過し、日本を震撼させた。その後、日本は迎撃ミサイル技術強国ではないが、日米軍事同盟を頼りにイージス艦を土台とする迎撃ミサイル体制の構築に向け全力を注いだ。これまで日本はこんごう型イージス護衛艦4隻からスタンダードSM-3迎撃ミサイルを発射する迎撃実験を行い、いずれも成功している。また、日本が新たに建造した「あたご」型イージス護衛艦2隻も将来SM-3迎撃ミサイルを発射する能力を備える可能性がある。

日本の防衛庁は迎撃ミサイルを発射できる護衛艦を5隻保有するのが目標で、現在日本は世界第二、アジア一の海上迎撃ミサイルの実力を備えている。陸上から発射する迎撃ミサイルと違い、迎撃ミサイルを搭載した護衛艦が海上を巡航し、非常に高い機動力を備え、射程的に大型地上迎撃ミサイルの距離を補っている。

日本が朝鮮のロケットを墜落させたいと宣言したことは非常に重視すべきことで、日米両国の迎撃ミサイル体制の初歩的形成を示している。これに今後韓国が入れば、米国が西太平洋で約10隻のイージス艦からなる海上迎撃体制を構築することが可能となる。艦船1隻の迎撃ミサイル半径が500キロと計算すると、10隻の艦船がカバーする範囲の広さは想像に難くない。これほど大規模な作戦体制が朝鮮だけに念頭をおいているとすれば少々大げさだ。

核大国であるロシアは米国の欧州での迎撃ミサイルシステム配備に強く反対し、様々な手段を講じている。一方、中国の核開発に対する態度は一貫してかなり慎重で、核兵器庫の規模は米国やロシアに到底及ばない。こうした情況の中、米日の西太平洋における積極的な海上迎撃ミサイル構築の動きに、中国は警戒する必要がある。

ある専門家は、可能な情況であれば、中国は東北アジア及び西太平洋の迎撃ミサイル問題に関する会談をいち早く米国と行って関連制度を確立し、大国の戦略的バランスが崩れる局面を回避するべきだと指摘する。

まあ、日本のメディアを見ていては中国の真の姿が見えない事もご理解いただけると思います。

(仲村覚)