寄稿論文■夕刊フジ 与那国島“慰安婦慰霊祭”のウラ 自衛隊配備阻止が狙い?

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<与那国島“慰安婦慰霊祭”のウラ 自衛隊配備阻止が狙い?>
(ZAKZAK・夕刊フジ 2013.04.06)

 陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備が計画されている沖縄県・与那国島(与那国町)に先月末、韓国の活動家ら約20人が訪れ、慰安婦与那国島慰霊祭が開催された。戦時中、米軍の空爆で慰安婦46人が亡くなったと主張しているが、同町の糸数健一町議(60、自民党)は「自分は60年、この島に住んでいるが、慰安婦の存在も空爆も聞いたことがない。慰霊祭には、別の思惑があるのでは」といぶかしがっている。

 同町・久部良漁港内の北公園で先月23日朝、「朝鮮人従軍慰安婦与那国島慰霊祭」が開催された。主催は島民らで構成された実行委員会だが、韓国・ソウルの日本大使館前に無許可で慰安婦のブロンズ像を建てた市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会」のメンバーも参加した。

 町内で配られたチラシには慰霊祭について、こう書かれていた。

 《1944年末、朝鮮人『従軍慰安婦』53名が、日本軍によって台湾から沖縄の宮古島へ連行される途中、与那国島の久部良港で、アメリカ軍の空爆により46名が虐殺されました。(中略)さまよえる霊魂が生まれ育った故郷へ帰れるように祈ります》

 慰安婦の是非はともかく、46人もの死者がいれば慰霊祭開催も理解できるが、前出の糸数議員だけでなく、同町総務財政課も「戦時中だけに米軍機の銃撃はあったが、久部良港の空爆については与那国町史にも出てこない。年配者に聞いても、誰も知らない」という。

 そもそも、年末に起きた悲劇について3月末に慰霊祭を開くのは不自然なうえ、実行委員会に自衛隊配備に反対している人物がいるため、糸数議員は「自衛隊配備反対運動の一貫としか思えない」と語る。

 また、与那国島は尖閣諸島に近いため、「安倍晋三首相が進める日米同盟強化を阻止するつもりでは。慰安婦問題で日本と米国を離反させ、領土問題で日本の孤立化を狙っているのかもしれない」(沖縄の自民党関係者)との見方もある。

 島民である実行委員長にも取材を試みたが、何度電話しても呼び出し音が鳴るだけだった。

 与那国島への自衛隊配備計画は現在、用地売買や賃貸借契約をめぐり、同町と防衛省の交渉が難航している。安倍政権はこれらの背景を把握しているのだろうか。 

(ジャーナリスト・仲村覚)