【メディア掲載(iRONNA)】沖縄と秋田「落選の法則」が教えてくれた自民党に忍び寄る危機

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今ひとつ、皆様の関心が薄い論文ですが、

私としては、現在、注目を浴びているどのニュースよりも100倍大切な日本の足元の危機についてできるだけ説得力をもって警鐘を鳴らしたつもりです。

また、沖縄問題は決して沖縄問題ではなく、日本の弱点が、国防最前線の沖縄から症状が現れるということを示しました。

ゆめゆめ、沖縄問題を沖縄の特殊事情だと誤解をしてはならないということでもあります。

有事が迫った時に、気がついては遅いので、今対策するべき課題です。

是非、ご一読をいただき、政治家の皆様にもご紹介いただけると幸いです。

(一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム 理事長 仲村覚)

   参院選で、与党の自民・公明両党は改選・非改選合わせ、過半数を大幅に超える141議席を獲得した。憲法改正に積極的な日本維新の会の12議席と無所属の3議席を加えると161議席となり、改憲の発議に必要な3分の2(162)を割り込んだものの、安定的に政権を運営する議席を獲得した。
 一方、沖縄県の自民党は厳しい状態を抜け出すことができない。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移転をめぐる問題で、2014年に自民を離党した翁長雄志前知事が誕生して以来、県政野党の立場が長く続いている。
 昨年9月30日に行われた沖縄知事選でも、自民県連は宜野湾市長だった佐喜眞(さきま)淳氏を擁立して県政奪還を狙ったが、急逝した翁長氏の「遺言」で擁立された自由党幹事長の玉城デニー氏に敗れてしまった。翁長前知事の就任以来、県内の衆院選挙区で当選したのは4区の西銘恒三郎氏だけで、参院選は全敗している。
 この結果から、沖縄県民は他の都道府県民と比べ、強い反米感情を持っている革新地盤に見えるが、本当にそうだろうか。実は、過去の首長選からは、必ずしもそうとはいえないことが分かる。
 沖縄県内には11市あるが、翁長県政以降の市長選を見てみよう。石垣、沖縄、うるま、浦添、糸満、宮古島、宜野湾、名護の8市は自民系の候補が当選している。
 日米同盟を重視する自民党もかなりの支持を得ていることが分かる。負けたのは、翁長前知事の地盤である那覇市と保守分裂選挙となった豊見城市、そしてわずか65票差で負けた南城市の3市だ。
沖縄選挙区で落選が決まり、支持者らに頭を下げる安里繁信氏=2019年7月21日夜、那覇市
    大ざっぱに見たとしても、個別の特殊事情を除けば、辺野古が争点にならない市町村長選での自民系は強く、争点外しのできない国政選挙では落選するという「法則」が見られる。では、この法則は基地アレルギーが強い沖縄だけの特殊事情なのだろうか。
 しかし、先の参議選では、沖縄と類似した落選パターンが他の選挙区でも見られた。それが秋田選挙区だ。
秋田選挙区は自民候補が過去3連勝し、3年前の参院選でも、東北6県で自民が唯一勝利した選挙区だった。ところが、今回、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備問題が争点に急浮上したとたんに逆風が吹き荒れ、自民の現職候補は敗北を喫した。
 争点こそ辺野古とイージス・アショアで異なるが、その負け方は沖縄県の選挙とそっくりなのだ。秋田では、野党が沖縄と同じく、統一候補を擁立していた。そんな中、防衛省の不手際が続いたこともあり、イージス・アショアの配備が争点として大きくクローズアップされた。そして、自民党候補が争点外しのため、配備への賛否を明確にしなかったのである。
 要するに、沖縄と秋田が負けパターンに陥った最大の原因は、ひとえに有権者が政府の安全保障政策に理解を示さなかったことにある。そうであるなら、ここで立ち止まって考えなければならない。
 そもそも、安全保障問題に関する有権者への説明責任は誰にあるのだろうか。果たして国政選挙の候補者なのか、それとも都道府県知事なのか。
 いずれもNOである。それは安全保障政策の執行者、すなわち防衛省であるべきだ。究極的には防衛大臣、そして自衛隊の最高指揮官たる総理大臣ということになる。
 では、防衛大臣はこれまで、沖縄でどのような説明をしていたのだろうか。防衛大臣が沖縄入りした際には、知事と面談して辺野古移設への理解を求めるケースが非常に多い。
秋田選挙区で当選を決め、支持者と握手する野党統一候補の無所属新人寺田静氏(右)=2019年7月21日夜、秋田市
   しかし、仮に知事が理解を示したとしても、有権者に何らかの説明があるわけではない。有権者が理解していないから、選挙になれば、マスコミの報道に大きく影響されてしまう。
 今回の秋田選挙区でも、安倍晋三首相が現地に応援に入り、イージス・アショアの必要性を懸命に訴えた。しかし、それも時遅し。選挙戦がスタートしてからでは、難しい話をしても誰も聞くわけがないのである。
結局、秋田の結果から言えるのは「安全保障政策を推進する立場の自民党が、安全保障が争点になった選挙には極めて弱い」と明らかになった選挙だったのではないだろうか。
 つまり、沖縄での選挙の連敗は沖縄の特殊事情で敗れたのではない。国防の「最前線」にある沖縄の選挙で、最大の争点が安全保障だったから負けたのである。
 そう考えれば、全国どの選挙区でも、安全保障が最大の争点に浮上すれば、沖縄や秋田と同じように自民系候補が落選の憂き目を見る可能性が高くなるのではないだろうか。
 これは、日本の未来にとって危惧すべき問題だ。もし、安全保障を取り巻く環境がさらに厳しくなり、国防力の強化が必要になった最も重要な時にこそ、自民党が野党に転落する可能性が高くなるとは言えまいか。
 だが、このような状況を作り出した原因は自民党にある。長く政権与党の座にある間、国防の大半を米軍に依存し、自ら国防政策についての議論を深めることもなく、国民の国防教育も怠ってきたことにある。そうして、政治家は国防に関する説明能力を失い、国民は安全保障に関する理解能力が奪われたのだ。
 今からでも遅くない、自民党はこの課題を克服するためにあらゆる手を打つべきだ。選挙が始まってから国防政策を説明したのでは意味がない。
(続きはこちらからご覧ください https://ironna.jp/article/13107 )

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