寄稿論文■夕刊フジ オスプレイに尖閣余波 沖縄で賛成意見も

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<オスプレイに尖閣余波 沖縄で賛成意見も>
(夕刊フジ 2012.08.24)

 香港の民間活動家による沖縄県・尖閣諸島への強行上陸などを受け、同県内で、中国の軍事的台頭を牽制するためにも、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備を賛成する動きが出ている。当然、「米軍基地反対」「オスプレイ反対」を訴える人々も多いが、県内の幹線道路沿いには「賛成派」と「反対派」の横断幕が並んでアピールしている。

 写真は、沖縄県宜野湾市嘉数付近の浦添バイパス沿いを写したもの。「オスプレイ配備反対! 8・5県民大会に参加しよう!」という横断幕と並び、「オスプレイ配備反対は自殺行為!」「沖縄県民が恐れるべきは オスプレイではなく尖閣を狙う中国共産党」という横断幕が設置されている。

 8月5日に予定されていたオスプレイ配備反対集会は台風で延期になったため、来月9日に予定されている。この反対集会は、県や市町村のイベントとして行われるため「県民大会」と称し、全市町村に実行委員会を設置し参加の呼びかけだけでなく、運営費の募金活動まで行っている。

 一方、賛成派は、中国が尖閣に対して領土的野心をあらわにしていることを警戒。オスプレイの安全性への懸念を解消したうえで、沖縄本島を起点に尖閣諸島まで行動半径に入るオスプレイの配備を求めている。

 米軍は事故について、死者や200万ドル(約1億6000万円)以上の損害が出た事故をクラスA、より軽微な事故を順番にクラスB、Cとランク付けしている。

 米当局が明らかにしたオスプレイのクラスAの事故率は1・93で、海兵隊の平均事故率2・45を下回る発生率だ。ただ、クラスB、Cの事故率は平均を上回る。

 安全性を徹底的に確認するのは当たり前だが、単に「地元の不安」などの感情論で反対するのではなく、尖閣や沖縄を取り巻く安全保障情勢も含めて、判断すべきではないか。

(ジャーナリスト・仲村覚)